方やメジャーの金掛かったプロダクションにゴージャスなライブ、映画も出ちゃうカントリー界の産んだスーパーアイドル。方や自室で一人「自分だけにしか分からない極度の不安」を曲にしたという引きこもり界ベッドルーム・ポップ界の産んだ期待のニューカマー。共に1989年アメリカ産まれの22歳、若き2人の2作品。
Taylor Swift / 『Speak Now』 [Big Machine]
「電子音楽好きにはアイドル好きが多い」とはよく言われますが、って今てきとうにでっちあげただけなんだけど、何処かで見た昔の雑誌でも石野卓球か誰かが「テクノばっか聴いてるとアイドルソングが聴きたくなる」みたいな事を書いていて、俺がELTの初期曲やらモー娘聴きたくなるのは変じゃなかったんだ…!と勇気を貰った記憶があります。まあecrnアワード見てても、ももクロとか上位に入ってるしあながち間違ってないんじゃないかな。
…何でこんな事書いてるかというと今の自分が求めていたアイドルこそ、このテイラー・スウィフトだったんですよ!テレビ見ないしラジオも聴かないのでこんなにメジャーな人を今更聴いた訳なんですけども、声はかわいいし歌もお上手だし(うまくはないが)ベタベタなポップソングを歌っていて素晴らしいですね。彼女はカントリーがルーツにあるので本人には申し訳ないのだけど、この作品で気に入ったのは”Sparks Fly”や”Better Than Revenge”といった如何にもなアメリカン・ポップスで、これ気持ちいいだろ?と言いたげなコテコテのギターソロに「だってあなたが笑う度にキラキラが舞うのが見えるの☆」なんてスイーツ丸出しな歌詞まで実によいです。どうでもいいけど、”The Story of Us”って歌い出しがレベッカ・ブラックの”My Moment”にちょっと似てる。
Taylor Swift – Sparks Fly
Youth Lagoon / 『The Year Of Hibernation』 [Fat Possum]
で、こちらはアイダホ産まれのTrevor Powers君によるソロプロジェクト、Youth Lagoonのデビュー作。この作品以前レコ屋で試聴したら、閉塞感に気が滅入ってしまってスルーしたんだけど配信が安かったので購入。楽器も一人でこなし殆ど自室の宅録環境で制作されたという本作はタイトルからして「冬眠の年」と徹底している。やさしいギターの音色、シンプルで小気味良いドラムにドリーミーなシンセで構成されるトラックは、誰も居ないはずの放課後の音楽室からかすかに聴こえてくる音のよう。そして、か細くて優しげな声にエコーが掛かって一層儚げな雰囲気のボーカルはなんだか子守唄の様でもあるし、思春期の少年の心の叫びを聴いている様でもある。
まさにベッドルーム・ポップそのものなんだけど、その一言で片付けるのが申し訳ないくらいなんとも不思議な魅力があります。まあ”Cannons”なんかを聴いていると気が滅入ってしまうのは変わらないんだけど、中には”Daydream”みたいにちょっとノリのよい曲もあって楽しめたし、ちゃんと聴いてみたら各所で評判いい理由もわかった気がします。すごく眠たい時や夕焼け時に聴くとハマりそうな1枚。ところでトレヴァー君は本作で不安を克服出来たんでしょうかね。
まさにベッドルーム・ポップそのものなんだけど、その一言で片付けるのが申し訳ないくらいなんとも不思議な魅力があります。まあ”Cannons”なんかを聴いていると気が滅入ってしまうのは変わらないんだけど、中には”Daydream”みたいにちょっとノリのよい曲もあって楽しめたし、ちゃんと聴いてみたら各所で評判いい理由もわかった気がします。すごく眠たい時や夕焼け時に聴くとハマりそうな1枚。ところでトレヴァー君は本作で不安を克服出来たんでしょうかね。