2013/10/18

CHVRCHES / 『The Bones Of What You Believe』 [Virgin]

10/18/2013
Artist : CHVRCHES
Title : The Bones Of What You Believe
Label : Virgin (UK)
Release Date : 2013/09/23
Format : LP

Amazon(CD)


グラスゴーのエレクトロ・ポップ3ピース、CHVRCHESのデビュー・アルバム。昨年Soundcloudなどで公開された彼らの曲を聴いたときは、明るく前向きなピュリティ・リングみたいなもんかしら。と思ったのだけど、こうしてアルバムになってみるとPitchforkの言うとおり、パッション・ピットや、『Hurry Up We're Dreaming』で妙にエモくなったM83の方が近いかもしれない。アンソニー・ゴンザレスにキビ団子(覚せい剤入り)を与えるとこんな感じになりそうだ。

オープニングを飾る"The Mother We Share"の弾ける様なポップ感、どころかEDMの香りすら漂うある意味下世話の極みみたいなこのポップ・ソングに、清涼な印象を与えているのはこのジュベナイルの主人公、ローレン・メイベリーの歌声にある。彼女のボーカルは何ものにも染まっておらず清々しいまでにポップで、浮かんで来るのは"マジで恋する5秒前"の頃の広末涼子であり、『たったひとつの冴えたやりかた』のコーティー、『エンディミオン』における(子どもの頃の)アイネイアーといった無敵のヒロイン像だ。意味もなく高い所へ腰掛け足をぶらぶらさせたり、海岸をカメラ目線全開で走っても、或いは「世界(スフィア)の音楽を聴くこと」などと厨二臭い事を言っても…つまり、ちょっとお寒かったり、どんなにあざとい匂いがしようとも、かわいい!が多数派を占めるであろう今どき得難いボーカリストなので、多少歌がヘタとか、女性ウケが悪そうとかはこの際無視しよう。

そんな本作のベスト・トラックは4曲目の"Tether"ですかね。メランコリックで抑え気味の前半から、80'sなエコーがかったドラムマシン、M83みたいなエモいコーラス、そして堰を切ったように溢れだす後半の綺羅びやかなシンセの洪水!とまぁ彼らの趣味性が全開でオリジナリティはまるで無いけれど、そんな細かい事は気にさせない勢いがあるナイストラックです。問題はアルバム後半。とりあえず男歌うなと。しかもうまくないのに2曲も。目先を変えるにしてもどうなのか。他にもテイラー・スウィフトの曲みたいな"Recover"、妙に安っぽいSFチックなテクノ・ポップ"Science/Visions"、"By The Throat"は"Tether"と同系統の曲だったりして、どうも幅の広げ方はあんまり上手くなさそうだ。とはいえ、ソングライティングはいいものを持っているので、次回作ではローレン嬢のボーカル以外にもチャーチズならではの、そしてアルバムならではの何かを一層求められるのではないでしょうか(ただし男は歌わないでよい)。 まぁちょっと飽きが早そうな匂いはプンプンするものの、前半はいいアルバムだと思います。ちなみに、広末涼子はとても苦手。



 
OpenMenu
QLOOKアクセス解析