Robert Henkeのソロになっている音響系ミニマル・ダブ・ユニット、Monolakeの8作目となるアルバム。本作はなんでも「蒸し暑いジャングル」を表現しているらしいんですが、聴いてみるとどうも普通のジャングルではなくて、もっと機械的というかなんというか、何者かに造られた感じのする異質な世界が広がっている。まるでダン・シモンズのSF『ハイペリオン』に出てくる雷吼樹でも生えていそうな驚異的な雰囲気に満ちていて、まあ何にせよ随分嫌なジャングルには違いない。前半は冒頭のノイジーな表題曲”Ghost”、キックの強調された”Discontinuity”、荒々しく攻撃的なベースが印象的な”The Existence of Time”など、ダブステップの影響が色濃く出ているダークなビートと立体的な音響の組み合わせは単純に格好よいし割と聴きやすいトラックが揃っている。
後半に入ると不穏さが増してきて”Phenomenon”はダウンテンポで壮大なトラックだけど、蝿が飛び回っている様な高調波が不快感を誘うし、”Unstable Matter”は針で刺されている様な怖さがある。重いベースと鮮烈な金属音の対比が気持ちよい”Lilith”を挟んで、パイプオルガンが鳴った途端に緊迫感を強いられる”Aligning the Daemon”、タイトルからして不気味な最終トラック”Foreign Object”まで息も付かせない展開で、聞き終わると結構疲れるし、前作『Silence』より人を選ぶ所はありますけど刺激を求める向きにはお薦めです。