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では何故こんなに受ける印象が地味なのか…といいますと、それは彼らがアルバムの統一感を重視したからではないかと思う。前作は鮮烈なビートとロミーのギターが強烈なインパクトだった”Intro”から始まり、中には軽快な雰囲気の”Island”などを混じえつつ進んでいくのだけど、本作はロミーがしっとりと歌う”Angels”から、終始一定のトーンのまま淡々と終わる。今年7月の来日公演(過去記事)では物凄く迫力のあったハウストラック”Sunset”ですら気がつくと再生が終わっており、あら、”Sunset”もう過ぎちゃったのかしら…?となった事は一度や二度ではありません。
遂に私もボケ始めたか…などと思いつつよくよく聴いてみると、The xxの代名詞とも言えるロミーの単音ギターは他の音に溶け込む様になり前作ほどには目立たなくなり、ジェイミーも多彩なビートを見せてはいるものの、やはり前作より控えめな印象で当前ながらソロ作のカラフル感もなく、オリヴァーは相変わらずイケメンだ。これらの変化はジェイミーがエンジニアまで務める様になり、完全に3人だけで制作が進められた事とおそらく無関係ではなく、彼らはより歌に焦点を当てることで統一感を出そうとしたのではないだろうか。
まあ結果的にこんなに淡々とした作品になってるんですけども、これを「大人になった」「洗練された」と取るか「退屈」「地味」と受け取るかで評価が分かれそうではある。私はというとこのアルバムを気に入っていて、気がつくと通しで聴いてしまってるんですよ。そういう作品は好きですね。静かにメランコリックを歌う本作はビーチハウスほど婆臭くなく、実にUKの若者らしさを感じさせる愛すべき小品、素晴らしき佳作ってとこですか。まあ若いんだからもうちょっと刺激を求めてもいいんじゃねえかって気はしますけども。
The xx - Chained