2012/12/12

Raime /『Quarter Turns Over A Living Line』[Blackest Ever Black]

12/12/2012
amazon
Fact Magazineの編集者Kiran Sandeが主宰する新興レーベル、Blackest Ever Blackより、UKのエクスペリメンタルでダークなアンビエント・デュオRaimeの1stフルアルバム。このアルバムを購入した時は、ジャケット写真を見ても単に踊っている女性としか思わなかったのだが、本作を聴いた今ではこう考えてしまう。…ひょっとしたら彼女は飛び降りたのかもしれない、と。何しろこの作品で描かれているのは絶望が支配する暗黒の世界であり、ダンスの入る余地などないのだから。

オープニング・トラック”Passed Over Trail”で聴こえてくるのは、ヘリの様にも聞こえる機械の轟音と重ねられたシンセの風斬り音だ。聴いていると、唐突にモノクロームの世界へと放り出され、そこには得体のしれない超巨大な機械がただ蠢くのみ。今のところ奴は何もしてこないが、油断すると刹那に殺人マシーンと化して、私など一瞬にしてバラバラにしてしまうに違いない…そんな映像が浮かんでくる不気味なトラックである。この様に強くイメージを喚起されるところからして、本作は映像的な作品と言えるのかもしれない。

さて折角なので、ここで私が本作を聴いて想像したストーリーを、曲順に沿って簡単に紹介してみたい。
  1. ”Passed Over Trail”…前述の通りである
  2. “The Last Foundry”…ここは機械の中だろうか、黒尽くめの不気味な連中が何かしている
  3. ”Soil And Colts”…何かの儀式の様だ、嫌な予感がする
  4. “Exist In The Repeat Of Practice”…奴が、動きだした
  5. “The Walker In Blast And Bottle”…殺戮の宴。ここは、地獄だ
  6. ”Your Cast Will Tire”…死者の血と我が身を悪魔に捧げ、奴を葬り去ろう…我はメシア
  7. “The Dimming Of Road And Rights”…エンドロール(バッドエンド)
やや中二臭くなってしまったが、どうだろうか。是非このストーリーを頭に入れながら本作を聴いてみて頂きたい。…何となくいろいろと余計な事を書いてしまった気がする。仕方ないので強引に纏めると、聴いた者に何らかのイメージを呼び起こさせる、という点でこれほど優れた作品は中々ないのではなかろうか。どうしょうもなく悪趣味で、恐怖に満ち、救いようがないものの、ついリピートしたくなる魅力がある。例え希望など入っていなくとも、目の前に美しいパンドラの箱があったら開けたくなる。それが人間ってものだろう?

……この文体は一体なにに影響を受けたんだ…。自分で書いててムカついてきました。どうでもいいけど、こんなの聴いてるのお母さんに知られたら、何考えてんのアンタって子は!とか言われちゃうんだろうな…

 
OpenMenu
QLOOKアクセス解析