Artist : Graciela Maria
Title : Olvido (PMC113)
Label : Project:Mooncircle (GER)
Release Date : 2013/04/05
Format : Vinyl
メキシコ出身のシンガー・ソングライターGraciela Mariaの2ndアルバムは、ベルリンのストリートウェアショップHHVが運営するビート系レーベルProject:Mooncircleから。この女性は主にRobot Kochがプロデュースを手掛けてるんですが、本作は全曲が彼女自らのプロデュースという事もあってか(Robo KochとSneakyは共同制作者としてクレジットされている)、エレクトロニックなビートは鳴りを潜め、ピアノやチェロなどの生楽器を主体としたフォーキーな作品になっています。
この作品をひと言でいうと、なにこれ暗い。ってくらいすげぇ暗いんですが(駄洒落ではない)、世紀末的な世界とかの非日常的なものではなく、非常に内省的で、例えば死について考えるとか、そういう人が誰しももっている類の暗さと言えるだろうか。Graciela Mariaのボーカルは嘆くでもなく叫ぶでもなく、淡々としているんだけど、在るがままを受け入れているかの様な芯の強さがあり惹き込まれる。ただまあ、全体的にちょっと地味なので、彼女のルーツを感じさせるメキシカン演歌みたいな”Olvido”、チェロの魅力が存分に活きたトリップホップ風の”Azul”なんかもよいんですが、アルバムの中では比較的Robot Kochのビートが強めに出ていて迫力のある”Last Place”や、”From Others”といった曲の方が私は好みですかね。全11曲で38分と短めなので、繰り返し聴けてしまうなかなかの佳作で、ひとり物思いに耽る夜に静かに寄り添ってくれる、そんな作品です。