Title : Overgrown (ATLAS10CD)
Label : Atlas/Polydor (UK)
Release Date : 2013/04/05
Format : CD
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2013年の上半期を代表する話題盤の1つ。LAのガールズ・バンド、Warpaintのテレサ・ウェイマン(32歳)との交際により、童貞を捨ててパワーアップした。などと好き勝手なことを言われているロンドンの若き才人、James Blakeさん24歳の2ndアルバム。しかし遠距離恋愛の美男美女カップルとか素敵ですし、すごくお似合いですよね。なんか2人とも生まれつき暗そうな所とか。
さて、そんな事はどうでもよいとして、何と言っても1stアルバムから決定的に変わっているのは、Autotuneなんかによる過剰なボーカルエフェクトが無くなったことですよね。加えてトラックの分かりやすさ…とでも言えばいいのかな、ポップになったというのも少し違う気がするんだけど、例えば”Digital Lion”の迫力あるビートは、”Limit to Your Love”のMVでコップが揺れる超低域パートをより分かりやすくしたものの様に思えなくもないし、まあとにかく前作よりもスムーズで分かりやすい作品になっている。1stと同じく40分弱の収録時間だけれど、本作の方が体感時間はずっと短く感じるのではなかろうか。でもその反面、やや引っ掛かりが少なくなった様にも感じられ、”Lindisfarne”の極端なボーカルエフェクトによるロボ声や、柔らかいギターが差し込む美しい瞬間が愛おしくなってしまう所もあるのですが。(本作を聴いたあとで1stの良さが改めて分かったというか…) しかし、それでも、本作は誰が聴いてもJames Blakeの音だと分かるオリジナリティに溢れており、静かな怒りを伴い「I don't mind, it was all me.」と繰り返す”Voyeur”は、暗そうな青年JBらしく怨念めいた感情が渦巻いた素晴らしいトラックだし、”To The Last”、”Our Love Comes Back”の穏やかで柔らかいボーカルもまた味わい深い。前作が気に入った人なら、本作からもきっと最良の瞬間を見つけられるであろう良作でしょう。来月の来日ライブが今から楽しみです。