フランス発、Neigeによるシューゲイザー/ポスト・ブラックメタルなソロプロジェクトAlcestの新作。『魂の旅』と題された本作は、前作『Écailles de lune(月の鱗)』の路線を引き継いだ物悲しくてノスタルジックな世界観が表現されている。ポスト・ブラックとは言ってもブラック感はないし、絶叫もあるけどギターに埋もれてうるさくないし、シューゲイザーとは言ってもギターの音はやはりメタル出身だと感じるし、なんだかよく判らんハイブリッドな音というかまあ聴いてる印象としては轟音ポストロックになるんですけども、この美しい音楽を聴いているとそんな細かい事はどうでもよくなってきます。
どれもいい曲だけど、穏やかなアコギで始まる壮大な#1.”Autre Temps”、後半の昇っていく様な感覚のギターが印象的な表題曲”Les Voyages de l'âme”、疾走感あるギターとNeigeの淡々とした優しいボーカルが素敵な#4.”Nous sommes l'émeraude”が特に好み。ポスト・ロック、ポスト・ハードコアから泣きメロメタル好きな人まで聴いて損はしない完成度の高い逸品で、フォーキーなポストロックに飽きちゃった人なんかに特によさげ。アルバムカバーがとっても綺麗なのでLPで買えばよかったかも。