まあそんなタワごとはどうでもいいとして、本作はBPMが110に統一され常に一定のテンポで鳴るビート、ミックスCDの様に完全に繋がっているトラック…と、アルバム全体の構成に重きが置かれているのが特徴で、これはLabyrinthでのライブパフォーマンスを念頭において制作されたからだと思うんだけど、全て自らの曲で予めこういう作品を制作する、という強靭な世界観やコンセプトが無いと、こうした統一感は出せないと思う。そんな訳でこの作品はアルバムを通しで聴くのがお勧めです。
音的には民族的で多彩なパーカッションによるビート、湖上に浮かぶ霧の様に静謐で控えめな雰囲気のウワモノに加え、遠くで歌っている声や虫の様な鳴き声、或いは水の音…といった環境音や効果音で成り立っており、特に新しさや奇抜なアイディアがある訳でもない。世界観は基本的には無機質なんだけど、冷たすぎる訳でもなく暖かくもなく、あくまでニュートラルな感触。まあこう書いてみると地味な作品かも…って気もするんだけど、じんわりと体内に浸透してくる様な展開とサウンドデザインによるアルバムの統一感が本当に素晴らしく、これほど格好いいアンビエント・テクノ作品はそうそうないかなと。これは年間ベストきたかも。
ちなみにスタンダードな手法でありながらやたらと格好いい音の空間を演出している。という所でなんとなく昨年聴いたSandwell Districtの『Feed Forward』を思い出したんですけど、LabyrinthではVoices From The Lakeが2日目のトリで、その前はFunctionだったのだとか。星空の下で体感した人が羨ましい!
Voices From The Lake - S.T. (VFTL Rework)